愛和レディースクリニック・伊丹市・産婦人科

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月経関連疾患

月経関連疾患最近、月経不順や月経困難症(生理痛)で悩んでおられる女性が増えています。
また生理前になると気分が落ち込んだり、イライラしたりして仕事にも家庭においても支障をきたすようになっている女性もまた増加しています。
これらの症状は、直接生活の質または周りの人間関係にまで影響を及ぼす疾患です。
無理せずに、早めに受診し少しでも早く楽になっていただきたいですね。
詳しくは、女性健康医学講座にて説明しておりますので、参考になさってくださいね。

月経異常(月経不順)無月経月経困難症月経前症候群(PMS)

月経異常(月経不順)

女性ホルモンは卵巣から分泌されますが、ストレスにとっても弱いのです。ところが、女性の社会進出が進み責任のある仕事をこなし、キャリアを積んでゆくことはとってもいいのですが、現代はストレス社会といわれるほどストレスを昼夜にわたって受けてしまいます。
そのため、ストレスという刺激が身体に及ぶと、たくさんの生理活性物質が分泌され、卵巣の機能に変調をきたしたり生理痛などの症状がひどくなったりしてゆくのです。

女性のからだは女性ホルモンによって支配されコントロールされていますので、まずはあなたのからだの状態を把握することが大事です。

検査としては
・ホルモン測定により卵巣の機能の評価
・基礎体温を測定することで、排卵の有無等を確認
・超音波検査
などを実施いたします。
もちろん、生理痛などの原因として皆様もよくご存知の子宮内膜症についても評価をしてゆきます。


治療は、原則的には対症療法になります。まずは基礎体温が測定できるようであれば排卵の有無を確かめます。
そして排卵しているのであれば、低温相や高温相の持続期間にて漢方治療で開始したりできます。

しかし、排卵周期がない場合では、卵巣や脳下垂体から分泌されるホルモンの値の推移を見ながら、漢方治療も含め、排卵誘発剤やホルモン剤の使用も考慮してゆきます。
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無月経

無月経の原因・病態

無月経の原因としては、
・卵巣の働きが悪く排卵ができない状態になっている
・卵巣を支配している脳下垂体からの性腺刺激ホルモン、特に黄体形成ホルモン(LH)の律動的分泌の乱れ
・脳下垂体を支配する視床下部の働きの低下(視床下部性)
などがあります。
思春期での続発性無月経の原因としては、ストレスやダイエット、激しい運動などによる視床下部性無月経が多いとされています.

無月経の診断

最初に、基礎体温やホルモン検査による評価をすすめます。
また、超音波検査で子宮や卵巣の器質的異常がないかを検索することも重要です。

診断の手順としては

☆プロゲステロンの単独投与にて消退出血が起こった場合を第I度無月経といい、エストロゲンの子宮内膜に対する作用がある状態と評価します。

☆プロゲステロンの単独投与では消退出血が起こらなかった場合に、プロゲステロンとエストロゲンを投与して消退出血が起こった場合を第II度無月経といい、エストロゲンの子宮内膜に対する作用がない状態をいいます。

☆それでも消退出血が起こらなかった場合を子宮性無月経といいます。
     

無月経の治療

第I度無月経の場合は、プロゲステロン製剤を内服することで対応してゆきます。
第II度無月経の場合には、プロゲステロンとエストロゲンを周期的に投与して消退出血をおこす治療(Kaufmann療法)を繰り返してゆきます。
この場合、長期間の投与ではなく、3~4ヶ月の治療期間後、休薬期間をおいて評価をしてゆきます.
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月経困難症

月経困難症月経困難症には、
月経に関係する周期的な痛みで器質的な病変のない原発性月経困難症と、
立証できるような病因によって起こる続発性月経困難症に分類されます

月経困難症は日常生活や仕事・学校の上でも大きな支障をきたすため、早めに対処することをお薦めいたします。

原発性月経困難症

月経に関係する周期的な痛みで器質的な病変のないものを言います。
一番大事なのはやはり診察と超音波検査です。
診察にて、骨盤内の痛みなど癒着を示唆するような所見があるのかを調べ、超音波検査において子宮・卵巣の形態学的な状態を把握することで(例えば、子宮自体の大きさを計測すること)子宮筋腫や子宮腺筋症などの基礎疾患がないことを調べます。
私は、外来でよく「単純な月経困難症」と言います。
この単純という意味は
・基礎疾患がなく
・子宮自体の大きさも正常範囲内である
・子宮の筋層が月経時に内膜を剥離させるために収縮を起こす程度が強い
ことです。
この場合の治療は、鎮痛剤だけでなく筋肉を少し緩めるようなブスコパンとい薬剤を合せて内服していただきます。
ひどい方は、嘔吐まですることがありますが、一過性なので心配は要りません。子宮だけでなく、身体のほかの部分も収縮するため、胃も収縮し、胃痛や嘔吐を伴うのです。
場合によっては、以前の月経困難症の時のトラウマが影響していることがるため、心理的な安心感をもたらすように精神安定剤を併用することもあります。
ストレスでも症状は増強するため、生理前後は十分な休息と睡眠、また適度な運動が効果的です。

外来を受診された患者様の多くは、以前より生理痛が酷いことに対して何か婦人科的にあるのか心配していたが、なかなか産婦人科へは受診に来れなく不安な状態のまま過ごしていたといいます。超音波画像をモニターで見ていただき、子宮が形態的に正常で基礎疾患がないことを説明しますと、スーと表情が和らぎ、次の月経を迎えるにあたって気持ちの余裕が出来たと言われます。
もうこの段階で痛みは半減しているかもしれませんね♫
それほど精神的な状態が大きく女性の身体に影響をおよぼしているのです。
些細なことでも恥ずかしがらずに、相談してください。
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二次性月経困難症

子宮腺筋症最も一般的な原因のひとつとして子宮内膜症(子宮腺筋症)が挙げられます。
子宮内膜症とは、子宮内膜またはそれに類似する組織が何らかの原因で、本来あるべき子宮の内膜以外の場所に発生する病気です。この組織は女性ホルモンの影響で、正常な子宮内膜と同じように周期的に生理様変化をし増殖・出血しますが、その血液が排泄されず、炎症や周囲の組織との癒着を起こし、さまざまな痛みをもたらします。
子宮腺筋症とは子宮内膜またはそれに類似する組織は子宮筋層に入り込み、子宮筋層内で月経様変化を起こすため子宮が腫大する病気です。
また、円錐切除や熱焼灼術により二次的に頚管が狭くなり、子宮が月経血など内容物を排出しにくいために子宮が過度に収縮して痛みを生じる場合もあります。

月経困難症の治療

  • 薬に頼らない治療法
    前述のように気持ちの整理も痛み軽減の大きな要素ですし、ストレスから自分を解放するように気分転換をはかるのもよいでしょう。
  • 薬物治療
    ①排卵抑制療法(排卵を抑える治療法) : 低用量ピル
  • 症状に対する治療法
    ①痛みに対しては鎮痛剤や鎮痙剤
    ②むくみなどの水分貯留症状に対しては、五苓散や利尿剤  
  • 漢方治療
    桂枝茯苓丸・当帰芍薬散・芍薬甘草湯などを主に用います

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月経前症候群
(premenstrual syndrome:PMS)

月経前症候群(PMS)月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)とは月経前緊張症ともよばれており、月経の始まる一週間から10日くらい前から、神経質・イライラする・情緒不安定・落ち込み・頭痛・浮腫・乳房痛などの症状が出現するさまざまなからだの不調や精神症状で、月経が始まると同時にこれらの症状が消失するのが特徴です。

月経前症候群の頻度

月経前症候群は、いろいろな身体的ならびに精神的症状が出現しますが、その程度は「軽度のもの」から「日常生活に支障をきたすもの」まで個人差が大きく、月経前緊張症の発症頻度は報告によって開きがありますが数%から90%近くと言われています。

月経前症候群の症状

★からだの症状
(1)痛み : 下腹部痛・腰痛
(2)乳房:乳房の張り・乳房痛
(3)消化器症状:気分不良・吐き気・腹部膨満感・便秘
(4)神経症状:頭痛・めまい
(5)皮膚症状:にきび・肌荒れ・喘息の悪化
(6)水分貯留症状:むくみ・尿量減少・体重増加

★こころの症状
イライラ・憂うつ・怒りっぽい・集中力低下・疲れやすい

★社会適応障害
・仕事がうまくいかない
・周りの人とのコミュニケーションがうまくいかない
・社会的に孤立する
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月経前症候群の原因

月経前症候群が卵胞期には認められず、黄体期になると前述のいろいろな症状が出現してくることから、月経前のホルモン分泌の変化によるものではないかと言われています。

☆プロゲステロン(黄体ホルモン)不足説
☆エストロゲン(卵胞ホルモン)過剰説
などがあります。

排卵が起きた後、卵巣では妊娠に向けて黄体が形成され、そこで黄体ホルモンの分泌が高まります。
しかし、妊娠が成立しなかった場合は、黄体の退縮が黄体ホルモンの分泌低下を起こし、この急激な変化が視床下部に影響を及ぼします。
視床下部は自律神経の調節も行っているため、自律神経失調が起こり、さまざまな自律神経失調症状が出現するといわれています。
黄体ホルモンの変化  
       ↓
視床下部に影響を与える
     ↓
自律神経調節機構を混乱させる
     ↓
まざまな自律神経失調症状出現


これ以外の原因としては、
☆性格説
☆オピオイドペプチド説
☆ビタミン欠乏説
☆プロスタグランジン分泌異常説
が考えられています。 

月経前症候群が出やすい人

月経前症候群が出やすい人
・タバコを吸う人
・几帳面な人
・神経質な人
・負けず嫌いの人
などのタイプの人は、自律神経失調症状が出やすいのです。
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月経前症候群の治療

月経前症候群の原因がはっきりとわからないために、個別に対応していくしかありません。

1.対症療法
いろんな症状に対して、根本的な治療ではないが今困っている症状の緩和を目指します。
★精神神経症状
イライラ・抑うつなどの精神神経症状が強い場合は、抗不安薬であるコンスタン(武田薬品)、ソラナックス(大日本住友ーファイザー)、セルン(武田薬品)、ホリゾン(アステラス)などが効果あります。
★下腹部痛・腰痛など
プロスタグランジンの合成阻害薬が効果的であり、アスピリンに代表される薬が一般的に使われています。バファリン(ライオン)、ポンタール(三共製薬)、ロキソニン(三共製薬)、ボルタレン(ノバルティス)などが使用されます。
★乳房痛
抗プロラクチン作用のあるパーロデル(ノバルティス)、テルロン(日本シェーリング)を場合により使用してみる。ただし、パーロデルでは吐き気を伴うこともあり、症状が強い場合にはテルロンを試みてみるのもよいと思われます。
★むくみ・浮腫
むくみに対しては利尿剤としてラシックス(アベンティス)、アルダクトンA(ファイザー)が使用されます。

2.ホルモン療法
★排卵抑制法
最近では、保険適応ではありませんが低用量ピルにて排卵を抑制する場合もあります。
★黄体ホルモン療法
黄体ホルモンの低下などの変化をなくするために、排卵前後から黄体ホルモン製剤としてデュファストン(第一製薬)、ヒスロン(協和発酵)などの投与を試みます。
3. 漢方治療
個人の体質や症状に合わせて処方できるので、漢方薬は効果的です。
症状が現れる時期に桃核承気湯など効果の高い薬を使い、ふだんは桂枝茯苓丸や当帰芍薬散・加味逍遙散などを服用するのが一般的です。
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