子宮がん検診・婦人科検診
最近、子宮頸がん発症の若年化、特に妊娠・出産を控えた20歳代・30歳代の女性の罹患率の増加が問題となっています。
また以前に比べて子宮体癌や卵巣癌も食事の欧米化とともに増加しています。
子宮筋腫や卵巣嚢腫など、自覚症状がないままに大きくなっていたりもします。
自覚症状がないと、婦人科の検診はついつい億劫になってしまいますよね。その気持ちよくわかるのですが、来院されたときには子宮筋腫や卵巣嚢腫が大きくなってしまっており、温存するのに難渋することも多々経験するのも事実です。
年に1階は婦人科検診すべきと考えます。
当クリニックでは、自動問診や患者番号管理システムを導入することで、患者様のプライバシーを大切に保護するための取り組みをしておりますので、ご安心して受診なさってください。
20-69歳 女性の子宮頸がん検診受診割合(2006年) 厚生労働省ホームページより改変
子宮頸がんに毎年約15000人が罹患しています。
子宮頸がんワクチンが開発されたからと言っても、100%阻止できるわけではありません。
そもそも、産婦人科を受診する敷居が高く、症状がなければ出来れば受信したくない診療科目の筆頭でしょう。
しかし、先進国で日本だけが子宮頸がん検診の受診率が極端に低い状態です。
日本では恥ずかしいからとか症状がないからという理由で産婦人科にお診察をあまりしませんが、欧米では
産婦人科での検診は女性として当然すべきことで習慣となっているのです。
検査そのものは痛みもなく、直接子宮頸部から細胞を採取したり直視下での観察が容易にできることなど、異常が発見しやすいとも言われています。
私は、
各自の誕生日の月に検診を受けていただくように指導しております。誕生日は1年に1回必ず訪れるし忘れることがないからです。
私が最近気になっていることは、子宮ガン検査のなかでも体癌検診をすべき症例に対して入り口の頚癌のみの検査しか実施していないケースが目立つことです。ご本人にお聞きすると、「医師からも何の説明もなかったので当然体癌の検査もしてくれていると思っていた」と言われる方が非常に多いのです。
私は、基本的には閉経後の女性には実施すべきと考えます。当クリニックでは、私の今までの経験から40歳以上の女性には子宮体癌の細胞診検査も積極的に勧めています。
また、閉経前であっても不正性器出血があったり超音波検査で子宮の内膜が厚く肥厚している場合などは検査の対象と考えています。
外来では、よく「痛い検査は初めてした」といわれますが、子宮の中に細胞を採取してくる細い器具を入れますのでどうしても多少の痛みが伴うのです。
今までに検診を毎年していた人で、不正性器出血を主訴に来院され、すでに子宮体癌が進行してしまっている方が結構おられるのです。
たいていの人は「奥まで(体癌検診のこと)してもらっていると思ってたけどしてなかったみたい・・・」といわれるのです。
検査そのものは、患者さまにとっても少し痛みを伴いますし、実施する側からすると結構器具が入りにくかったり苦労する検査なのです。
でも、適応があればやはりしておくべき検査です。
婦人科の一般的な検診とともに、他の子宮筋腫や卵巣嚢腫が見つかることもありますので、どうかお気軽に当クリニックを利用してください。
超音波検査は身体に侵襲を与えずに、子宮や卵巣の状態を評価できる検査です。
学会で東京の大学病院の講師が、内診所見と超音波検査の所見を比較検討したところ、
内診では約20%しか所見を把握できなかったと報告しています。
その理由として、
・病変部分がさほど大きくなく個人差の範囲内と思われたこと
・皮下脂肪や腹圧にて十分な診察が困難で、所見自体が判然としなかった
などを上げていますが、元来内診だけでは限界があります。
私は、子宮体がん検査を実施するときは必ず超音波検査での内膜の厚さの評価を実施します。
開業して6年が経過しますが、
子宮内膜の細胞診では異常がない症例でも、超音波検査にて子宮内膜の肥厚像が認められ、関西労災病院などの大きな病院で組織検査を実施していただき、子宮体がんの0期(ごく初期の上皮内癌)と診断された症例が7件あります。もちろん、不正正規出血などの症状はなく、大半が子宮頚がん検診を希望されて来院された患者様です。
やはり定期検診もさることながら、超音波検査は十分に実施する価値のある検査です。
特に卵巣は「沈黙の臓器」と言われ、症状が無いまま病気が進行していることも決して稀ではありません。
せっかく産婦人科を受診されたのなら、
子宮頚がん検診のみならず、子宮内膜細胞診や超音波検査にての子宮・卵巣の評価を必ずお薦めいたします。