妊娠や分娩の際の喜びを分かち合うことは、産婦人科医師として何物にも変えがたい喜びです。
当クリニックでは分娩を取り扱っておりませんので、分娩予約をしていただくために分娩希望医療機関に紹介させていただいております。
妊娠されてから分娩までの長い道のりの途中では、たくさんの困難が待ち受けています。
皆様は元気な赤ちゃんが生まれてきて当然と思いますでしょうか?
実は、
現在15%の方が流産を経験しています。6-7人に1人というとかなりの高率であることが理解できると思います。
また、
1人の女性が妊娠された際に何らかの異常を持った赤ちゃんを生む確立が0.1~6%、平均で約3%といわれています。つまり、1人の女性が100人子供を生んだ場合、平均で3人に何らかの異常があるということです。これは、女性が妊娠・出産する以上避けられないリスクなのです。
そして、分娩まで数え切れないハードルをひとつも倒さずに母と胎児が一生懸命走って、分娩というゴールに無事にたどり着くのです。その壮絶な戦い、苦難を無事に乗り越えたことに対して人々は自然と「おめでとう」「よくがんばったね」という温かい言葉が自然に出てくるのです。私はそう思っています。
私は、今まで不妊治療や思春期・更年期などのホルモン領域を専門にしてきましたが、大学院の研究テーマが妊娠中毒症の病態生理の解明であったため、重症妊娠中毒症や合併症妊婦、多胎妊娠などハイリスク妊婦の症例を専門に扱ってきました。
その中から得たものは、胎児の生命力はすばらしい!
また、母親は自分のからだを犠牲にしてまで胎児の成長を優先させるすぐれた適応能力を持っている
ということでした。
胎児と母親の2つの命を同時に守っていくこと、それは非常に判断が難しい時もあります。でも、その時に胎児にとっても母親にとっても最良の治療であるためにいままで研鑽をしてきました。
その想いをいつも胸に妊婦健診を実施しております。
当院での妊娠管理に対しては、特別のことがない限り2週間ごとに診察させていただいています。
妊娠初期は一ヶ月ごとで・・と言われますが、胎児は刻々と成長しその形態を大きく変化させています。
診察毎に超音波検査を実施し、胎児の写真をお渡ししています。
スキャナーでデジタル化してCDに集めてあげれば、生まれてくる赤ちゃんへのとっておきのプレゼントになるとおもっています。
当院での妊婦健診については、しっかりとしたクリニカル・パス形式で厳重な管理のもとで実施してゆきますのご安心ください。この妊娠管理のクリニカル・パスは院長が淀川キリスト教病院での経験を踏まえて作成したものです。
妊婦健診においては、超音波機器による、胎児の計測・推定体重、羊水量の評価、ならびに臍帯動脈や胎児の中大脳動脈の血流測定による子宮内における胎児の状態の把握などを評価してゆきます。
妊娠についての一般的な説明は、女性健康医学講座を参考にしていただけたらありがたいです。